IPO に向けてバックオフィス体制の「型」を構築する

株式会社フォトラクション

事業内容:インターネットサービスの企画・開発・運営

URL:https://corporate.photoruction.com/

設立:2016年3月14日

所在地:東京都中央区築地5丁目4−18 汐留イーストサイドビル 6階

理念:建設の世界を限りなくスマートにする

スタートアップ企業が上場(IPO)という目標に向け事業を成長させていく過程で、避けては通れないのがバックオフィスの体制構築です。

 

売上の入金確認、請求書の支払い、勤怠管理、給与計算……

 

これらバックオフィス業務は会社である以上やらねばならないことではありますが、スタートアップ企業においては「プロダクト開発や営業活動と比べると、バックオフィスの整備は優先順位が低くなってしまう」ということもあるのではないでしょうか。

しかし、問題が表面化するのは、事業が軌道に乗り始め「これから一気に成長しよう」という一番出て欲しくないタイミングです。

 

  • 契約数は増えるが、契約内容の管理ができておらず請求を誤る
  • 予実管理をしようにも、実績の確定が遅い、もしくは正確ではない
  • 社員は増えるが、勤怠管理ができておらず給与計算を誤る

 

このような問題が表出してから体制を整えようとしても、一朝一夕にできるものではありません。では、スタートアップ企業が、成長の先を見越してバックオフィスの体制を整えていくためには、いったいどうすれば良いのでしょうか。

 

そのヒントを探るべく、今回、株式会社フォトラクション様に、Brownies Works の事例インタビューへ二度目のご登場をいただきました。

 

同社が開発・運営する建築・土木の生産支援クラウド『Photoruction(フォトラクション)』は、国内外 100,000 以上の建設プロジェクトで活用され、2021 年 8 月に 7.6 億円の追加資金調達も実施。

独自開発の AI エンジンを用いた BPO 事業の立ち上げや、2021 年 4 月には大手建設材料メーカー・株式会社栗本鐵工所と共同開発した新プロダクト『photoruction water』をローンチするなど、フォトラクション社は建設テックで注目の成長企業です。

 

同社が Brownies Works をどのように活用し、事業の成長を支えるバックオフィス体制を構築したのか。そして今回、なぜ Brownies Works との契約を終えることになったのか。前回のインタビューに引き続き、取締役 CFO の渡辺 浩明さんにお話をお伺いしました。

導入前の課題

  • 事業の急拡大フェーズを迎え、想定よりも早く人員が増えたため、組織運営の体制を急いで整える必要があった。
  • 渡辺様ご自身は、複数のスタートアップ企業で管理部門を立ち上げてきた経験から、問題点や解決策の当たりは付いていたものの、役員業務との兼ね合いでカイゼンまで手が回らず、60 %くらいの状態でしのいでいるような状況だった。
  • 管理部門の人員補充に着手していたが、スタートアップに必要なスキルとマインドセットを兼ね揃えた人員を採用する難易度は高く、見通しが立っていなかった。
  • 採用活動を継続しつつ、目前の課題を解決するための方法を模索していた。

 

※前回記事はこちら▶ Brownies Works でプロダクトの成長を支える組織体制を構築

Brownies Works を選んだ決め手

— 前回のインタビューでは、「採用活動を継続しつつ、目前の課題を解決するための方法」として Brownies Works をご採用いただいたことをお伺いしました。その部分をもう少し詳しく教えていただけますか?

 

渡辺 様(以下、敬称略):はい、当初の想定では、①まず Brownies Works にバックオフィス体制のベース(型)を作ってもらい、②その上で新規採用したメンバーに加わってもらう、という順番を考えていました。

 

新規採用でどんなメンバーが加入してくれるのかは未知数ですので、バックオフィス業務の型化をある程度まで進めておき、その上で新しいメンバーと Brownies Works が一緒になって体制を作り上げていくのがベストだと思ったのです。

 

結果として、Brownies Works 導入と新メンバー加入がほぼ同時期になりましたが、型の構築や新メンバーの業務キャッチアップもスムーズでしたし、Brownies Works とのチームワークもとても良かったと思います。

Brownies Works 紹介資料より

— 人材採用はすべてのスタートアップ企業が悩んでいることだと思いますが、もし、渡辺さんから採用についてアドバイスをいただけるとしたら、「スタートアップ企業のバックオフィス(管理部門)でメンバーを採用するとき、ここを重視する」というようなものはありますか?

 

渡辺:そうですね、さまざまな要素があるので難しいですが、バランスが取れていることが大事ではないかと思います。

 

まずは、経理や労務としてのスキルや経験がどれだけあるか。

 

そして、当たり前のことを凡事徹底できるかどうか。文字にすると簡単に見えてしまいますが、会社の土台を支える管理部門のメンバーとして、実は大事な要素だと思います。

 

また、その人の思考のベクトルやマインドも、もちろん大切です。もう少し具体的には、「目の前の作業をちゃんと終えること」を目的にするのではなくて、その先まで想像力を働かせられるかどうか、ですね。

 

例えば、「自分の業務が、他の社員にどんな影響を与えるのか」「自分の業務によって生み出されたアウトプットが、その後どのように使われるのか」というところまで考えられる人だと、スタートアップの企業の管理部門に向いているマインドかなと思います。

— なるほど。採用についてよく聞くのは「業務スキルか、マインドセットか」という話ですが、やはりマインドセット系の要素の方が重要でしょうか。

 

渡辺:採用形態、例えば正社員として採用する場合と業務委託として採用する場合とでは、求める要素や(採用後の)教育の観点が異なりますので一概には言えませんが、その要素が後から変えられる可能性が高いか/低いかという観点はあると思います。

 

その観点で考えたときには、業務スキルより(後から変えづらい)マインドセットの方を重視すると思いますね。

僕自身、もともとキャリアのスタートは営業職で、途中から管理部門へキャリアチェンジしました。その経験を踏まえるなら、後付けで学べる要素は、本人が頑張ればキャッチアップできる(後から変えられる可能性がある)のではないかと思います。

 

— 採用と併せて、スタートアップ企業におけるバックオフィス体制構築の悩みの一つが「どのツールを使えば良いか」だと思うのですが、「成長を見越した場合に、このツールを導入しておいた方が良い」というものはありますか?

 

渡辺:会計ソフトなどは、なるべく同じプラットフォームで揃えておきたいですね。内部統制など IPO に対応できるプランがあるものが良いと思います。当社は freee を導入していますが、Money Forward でも最近、同様のプランが出たと聞いています。

 

労務管理ツールならやはり SmartHR が使いやすいのではないでしょうか。

 

勤怠管理ツールは、僕個人があまりこだわりがないということもありますが、だいたい皆さんも悩みますよね。

 

— 勤怠管理ツールはまだ「これだ!」というものがない?

 

渡辺:最終的な給与計算は社労士の先生にお願いしているので、きちんと連携できるかという点は大前提ですが、「そのツールをちゃんと使いこなせる人がいれば、そのツールにする」という感じですね。

 

— いくら良いツールがあっても、使う人間がちゃんと業務を理解していなければダメだということでしょうか?

 

渡辺:そうですね。まず実現したいこと(やるべきこと)が先にあって、そのための手段がツールですので、ツールから入るということはあまりしないですね。

導入の効果

  • 渡辺様がバックオフィスの実務を手放すことができ、その分、資金調達や組織運営に注力することができた。
  • 社員として新メンバー 2 名が加入したが、ベースとなる業務の型を作っていたおかげで、Brownies Works と連携しながらスムーズに業務をキャッチアップできた。
  • ツールが設計・運用の中に組み込まれる形であらかじめ選定されているので、自分たちでツールをリサーチしたり試験導入しなくても、バックオフィス業務に最適なものを使うことができた。

 

※前回記事はこちら▶ Brownies Works でプロダクトの成長を支える組織体制を構築

 

— 先ほど「やるべきことが先にあって、そのための手段がツール」というお話をお伺いしましたが、ツールに関して Brownies Works を導入した効果は何かありましたか?

 

渡辺:はい。ツールの選定・検証というのは、実はかなりの手間と労力がかかります。そのツールの設計思想を理解し、自社の業務内容や使うメンバーの志向に合うかどうかを検討したうえで試験導入を経て実導入に至るわけですが、これにはかなりのパワーが必要です。

 

また、自分たちのパワーをかけて検証したとしても、「どう検証して・何を以て判定するのか」という基準やノウハウがなければ、本当にちゃんと検証ができているかどうかは分かりません。

 

その点で Brownies Works は、さまざまなツールを検証し、さまざまな会社のバックオフィスを構築しているというナレッジを元にベストプラクティスを提供してもらえるという部分にとても安心感がありました。

 

ツールで業務が自動化できると言っても、その業務の根本が理解できていなければ「どこを自動化したら良いのか」は判断できません。バックオフィス業務のノウハウを持ったうえで業務設計しているというのが、Brownies Works 導入を決めた最大のポイントだったと思いますね。

Brownies Works 紹介資料より

— 導入前の想定として ①まず Brownies Works でバックオフィス体制の型を作り、②その上で新規採用したメンバーに加わってもらう、というお話を冒頭にお伺いしましたが、導入の効果として、上記の想定のとおりになりましたでしょうか?

 

渡辺:はい、想定どおりだったと思います。

 

新メンバーの 2 人も「バックオフィス業務をどのように運用すべきか」「会計データの持ち方はどのようにすれば良いのか」といったことの答えを入社してすぐに判断することは難しいですから、もしそれらをゼロベースで考えていたら、相当たいへんだったと思いますね。

 

— 管理部門をサポート、あるいはコンサルティングするという意味では、税理士(会計事務所)やコンサルティング・ファームなども選択肢に入ると思いますが、そういったところと比べていかがでしょうか?

 

渡辺:もちろん、選択肢には入ると思います。ただ、バックオフィスの体制構築は、結局のところ「運用の徹底」とのセットだと思うのですよね。

 

例えば、表面的にはクラウド会計ソフトを使いこなしているように見えても、勘定科目や品目、取引先などのデータがちゃんと入力されていない、あるいは、誤った考え方で入力されている、ということは往々にしてあります。

 

よく「クラウド会計ソフトを使えば、会計データをタイムリーに把握し、経営戦略に活かせる」ということが謳われていますが、日々のオペレーションが凡事徹底され、きちんとした会計データが出揃って初めて、そのデータを活用して戦略を考えることができるようになるのだと思います。

目の前の書類や数字を処理することがどのような意味を持つのか、理解した上でオペレーションを回すことが大切ですね。

— 例えば、CFO や COO の方が業務設計や運用管理をした上で、作業だけを BPO やオンラインアシスタントに外注する、という方法もあり得るでしょうか?

 

渡辺:そうですね、CxO が事業における会計データの流れを把握しバックオフィスを業務設計して、そのうえで外注作業をディレクションすれば良いと思いますが、(文字にしただけでも)かなり難易度が高そうですよね。

 

もしそこまで CxO ができているならば、作業まで含め社内でできる仕組みが作れそうな気がします。業務設計やディレクションができていないからこそ「(外注で)どこかにお任せしてしまいたい」ということになるのではないでしょうか。

 

また、CxO の立場から見た戦略的(抽象的)な視点だけでは、実務で把握しきれない部分もあると思いますので、CxO が業務設計するよりも、「バックオフィス業務の実務的(具体的)な視点を持った人が業務設計をした上で CxO の戦略的視点を加え、一緒にバックオフィスの体制を作っていく」という方が、良いのではないかと思いますね。

今回、Brownies Works との契約終了を決めた理由

— 今回 Brownies Works との契約を終了されることを決めた背景を教えていただけますでしょうか?

 

渡辺:はい、理由は大きく分けると 3 つあります。

 

まず一つ目は、管理部門のメンバー 2 名を採用できたこと。そして二つ目は、約 1 年半に渡る協業を経て、運用のベース(型)を整えられたことです。

 

この二つは、①Brownies Works にバックオフィス体制の型を作ってもらい、②新規採用したメンバーに加わってもらったうえで一緒に体制を作っていくという、当初の目論見を達成できたということでもあります。

 

そして三つ目は、組織が上場に向けた新たなフェーズに入ったことです。

 

今後、会社の規模がさらに成長して管理部門の人員が増えたときに、社員と Brownies Works でどう業務を分担していくかということを思案していました。

 

組織が大きくなったときの指揮命令系統(内部統制)を考えると、Brownies Works に仕切ってもらうわけにはいかないですし、「何の業務を・どこまで頼めるのか」という線引きも細かく行わねばなりません。

 

そうなったときに、Brownies Works の「バックフォフィスの上流(業務設計)から下流(実務運用)まで、総合的に支援する」という特徴に合わなくなってしまうのでは、と感じました。

 

また、当社のビジネスモデル上、ある程度従業員数が増えていく方向であることが見えていて、現在の料金体系(社員数による従量課金)だと、費用面での不安(※)があったのも事実です。

 

※編集部注:この課題の解決に向け、料金体系については現在見直しを行っています

 

これら三つの当社側の組織的な理由から、今後の事業の成長を考えときに、Brownies Works との契約を終了し、バックオフィスの体制を次なるステップに移行すべきと判断しました。

今後の展望

— 最後に、フォトラクション様の今後の展望についてお伺いできますか?

 

渡辺:はい。当社は建設業界向けのプロダクトを開発していますが、建設業界も他の業界と同じく、近年は深刻な人手不足です。それにも関わらず他業界と比べてテクノロジーの活用は進んでおらず、今後は生産性の向上が急務と言われています。

 

当社は 2016 年の設立以来「建設の世界を限りなくスマートにする」をミッションに掲げ建設業界のテック化(建設テック)に取り組んできました。建設業界は年間 60 兆円以上が投資される日本でも有数の巨大市場です。その市場がいま、本格的なテクノロジー活用へと動き出しています。

 

そのような追い風のなかで、当社も上場へ向けて会社や事業が急拡大していくフェーズに入り、現在積極的に採用を行っています。

2021年2月にはコーポレートロゴの刷新を発表

 

建設業は伝統的な産業ではありますが、一方で「就職・転職の選択肢としてはあまり検討の俎上に上がらない」という方もいらっしゃるかも知れません。

しかし、市場規模が大きく、私たちの日常にも大きく影響する伝統産業だからこそ、その変革に携わることで世の中に大きな影響を与えることができる可能性があります。

 

フォトラクションという会社自体も、一人ひとりの力で泥臭く事業を成長させるアーリーフェーズならではのやりがいと、カオスな状態を整え事業の急拡大へ向け動き出すミドル〜レイターフェーズのスケール感とが交錯する、とても面白い時期にあります。

 

建設業界への馴染みがない方でも、このレガシー産業を変革していく大きなチャレンジに面白さを感じてもらい、「一緒に働いてみたい!」と思っていただけたら嬉しいですね。

取材後記

「契約の終了」というお話いただきづらい質問にも率直にお答えいただき、Brownies Works 導入当初の目論見は達成いただけたということ、そして、ここまでの事業成長のお役に立てたということは、当社としてたいへん嬉しく思います。

 

そして、今後の更なる成長を見据えて発展的に契約を終了するという今回の事例は、「事業の成長を見越したバックオフィスの体制づくりに、Brownies Works のこんな活用方法もあるのだ」というケーススタディとして、とても貴重なお話でした。

 

フォトラクション様は、これから上場に向けた急成長のフェーズで積極採用中とのことですので、伝統産業の変革や、巨大市場でビジネスをスケールさせることにご興味がある方は、ぜひ求人情報もチェックしてみてください。

 

 

Brownies Works は、スタートアップ企業の成長を支えるバックオフィスの構築と運用を支援いたします。最新資料は下記のページよりご覧いただけます。また、オンラインによるご相談も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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